大館に帰ってきて、ブックオフに寄って帰る。ブックオフには昨日も寄ったけど、落ち着いて棚を見れなかったから再度寄った。40分くらいいたと思う。100円コーナーを、掘り出し物がないか探す。

お金がなかった大学・新卒時代、よくブックオフで本を買った。懐かしさが込み上がる。大学4年のお正月、たしか1月2日だと思うけど、新田のブックオフまで歩いて行った記憶がある。外は寒かったが、自分で自分を温めるように強く歩いた。新田は大学1年の頃にバイトした塾があって、大学生活のはじまりから、今まさに卒業しようとしている現在までの4年という月日のことを考えずにはいられなかった。4年前ここを通っていた自分と、いまの自分とで、何が変わり、何を得て、何を失い、そしてこれから俺はどこへ行くのか。そんなことを、新田のブックオフやその行き帰りで感じた。

新卒で入社した出版社では、「ブックオフは書店じゃないだろ」と言われた。そのとおりだ。出版社で働いている自分がブックオフに通ってしまうということの罪悪感、後ろめたさ。それを感じながら、しかし喉から手が出るほどに本を買わなければ生きれなかったから、ブックオフで買っていた。

大館のブックオフでは、お金にまつわるコミックエッセイを108円で買った。書店で見かけて、気になっていた本だった。初版は10年近く前だけど、長期で売れているそうだ。最近も書店で面陳されていたから、たしかに売れるのだろう。

ちなみに昨日は小山田浩子『穴』を買った。『穴』、大学1年のときに新品で買ったけど、いつかの引っ越しのタイミングで処分していた。所沢の部屋でベッドから本棚を見上げると、いつも『穴』の力強い字体の背表紙が見えていた。夏を思いだす、黒い表紙。その表紙がふたたび手元に戻ってきた。

明日からまた仕事が始まる。憂鬱だ。絶対に幸せになるんだという気持ちを思い出そうとして、すこしだけ思い出せた。