虫と火に


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弘前から大館へ向かう奥羽本線の中でこれを書く。

 

今週末は友達Kと過ごした。Kは五所川原に住んでいて、毎回弘前まで迎えに来てもらう。いつも申し訳ない。

Kの部屋で昨日の夕方から酒を飲んだ。レモンハイ、ビール(アサヒスーパードライ)、柚子酒、ハイボール。普段と変わらない。

酔って、「心配だ」と言われた。「いろんな人のことを受け入れそうで、心配だ」と言われた。周囲の人に振り回されて痛い目にあったり、損をしてしまったり、自分を見失ったり、傷ついたりしそう、という意味だった。

さいきん、村上春樹ダンス・ダンス・ダンス』に、「品の良いゴミ箱みたいな男」という比喩が出てくるのを思い出していた。エキセントリックな写真家のパートナーのことだ。彼は詩人だけど、その詩的才能の大部分を彼女である写真家に吸い奪われていた。写真にのめり込むと朝食を食べたかどうかさえろくに覚えてない彼女の、身の回りの世話をしていた。

いままで「いい人」と言われることが何度もあった。Kに言われた「受け入れそう」も、「品の良いゴミ箱みたいな男」も、言い換えれば「いい人」なんだと思う。

じゃあ、「いい人」って一体なんなんだろう。

  • 自分の気持ちより他人の気持ちを優先する。
  • 他人の言動に振り回される。
  • 嫌われたくない。

重複する部分もあるだろうけど、こんな感じか。疑問が、わく。

じゃあどうして、「いい人」になってしまったのか。

「いい人」を克服するためにはどうすればいいのか。

周りにはどういう風に映っているのか。

そもそも克服する必要はあるのか。この特徴を良い方向で生かせないのか。

分からないことが多くて、不安になる。「なぜ」「どうすれば」に答えられないことが、こんなにも人を不安にさせるのか。やみくもに焦る。かなしい。

でも、少なくとも俺は、「自分の生を生きていきたい」と思っている。これだけはたしかで、揺るがない。

Kに言われる。「なんとかなるよ、大丈夫」静かに降る雨の音が聞こえる。梅雨入りしたと聞いた。

自分の時間を生きること。

不安や恐怖に心を惑わされないこと。